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私たちの考えるフェアトレード

フェアトレードの基準

 フェアトレードとは、第三世界と呼ばれる国々との「支援を目的とした貿易」あるいは「貿易を方法とした支援」すべてを指すのでは無いと考えます。フェアトレードとはそのような貿易の一部の姿であり、一つの目標的活動形態と考えます。

私たちの考えるフェアトレードとは

1.継続的な取引を前提とする

2.環境に配慮し、持続可能な生産を前提とする

3.伝統的な技法、農法による生産を行っている

4.生産者の自立の為のプロジェクトとして行われている事業である

5.支援事業であると同時に、貿易事業としても収支が合う物である

6.商品として一般市場に流通可能な品質のものを提供できる

7.生産者の要請、ニーズに基づいた対等な事業である

などを満たす事業と考えます。フェアトレードに関しては未だ明確な基準があるわけではないのですが、細かな点を除き、上記の内容は必要最低限の条件と言えるでしょう。日本ではかつて「フェアトレード推進委員会」によりその基準が現在検討されましたが、各団体の考えや立場、生産国の状況の差などが問題となり、中々難しいのが状況です。

 私たちは、上記の特に6)を重要な条件と考えています。欧米を中心に発展してきたフェアトレードの概念は、施しの感覚が強いと言わざるを得ません。つまり途上国の物を慈善意識で購入する、商品が欲しいというより募金の変わりに購入するといった感覚が強いのです。このような感覚があるために、一部からはフェアトレードとは先進国の押し付け的な考えである、という判がでるのです。7)の項目を満たすのであればこのような批判は当てはまらないのですが、それ以前に商品として市場に通用するものでなければただのチャリティーにしかならないのは当然です。商品として市場に通用する物である事で初めて1)の継続的な取引が可能になります。現に欧米の手工芸品に関するフェアトレードでは、その取引量が下降の一途を辿っています。事業目的は商品の付加価値であり、それその物が商品であってはなりません。その為には、商品の企画開発、マーケットの認識が不可欠となるのです。アジアの中の一員である日本は、アジア圏の唯一のバイヤーであると同時に欧米とは異なる価値観を持つ事が出来ると考えます。今後、日本と他のアジアのNGOを中心に新たなフェアトレードの概念を築き上げることが重要な課題となるでしょう。

商品の企画開発とは

 一般的に言われている企画開発とフェアトレードにおける企画開発とは根本的に異なる点があります。一般の企画開発が市場のニーズと販売側の意向のみで行われるのに対し、フェアトレードにおける企画開発とは、フェアトレードの概念に則して行い、生産側の技術力や原材料の供給方、生産量、伝統技術の使用など生産側の意向を最も重視しなくてはなりません。特に重要と考えるのは、販売側の企画をそのまま押し付ける下請け的作業にならないよう、あるいは、売れる物なら何でも作るというような考え方を、現地側が持たないよう企画することです。マーケット側からの企画は、現地の技術向上につながる物でなくてはならず、なぜその商品を、どうしてそのような方法で作成するのかを伝えていく必要があります。それによりお互いの価値観を学びあい、生産側の企画生産力の向上につながるのです。そして、そこからはじめて自立への道が開けるのです。コピー商品や請負仕事しか出来ない現状では、いつまでも北側の国々の経済の道具としての存在でしかありません。お互いが対等であるためには、高い信頼関係が、商品の開発においても必要とされるのです。南の国々が北の国々に対して企画販売が出来る様になれば、それがいかに小規模であろうと、南北経済のシステムにとっては大きな変化の兆しとなりえるのです。それがフェアトレードの新たな形となっていく事でしょう。

その他の支援販売

 私たちは、フェアトレードとは、ある一定の条件を満たした物と考えます。支援団体の立場では、販売上、出来るだけフェアトレードという名称を使用したいと思います。しかし、購入する側から見ると、何がフェアトレードの商品か明確な選択基準がないのは甚だ不安で信頼を持ちにくいでしょう。その為にも、有機栽培商品のように、第三機関による認定も必要な場合もある考えます。コーヒーなどFLO(国際フェアトレード表示機構)の認定を受けることも可能ですが、経費や生産者団体規模の問題など難しい面もあり、また、手工芸品など量産できない物には適応しにくいことも事実です。

 支援団体の扱う商品すべてがすべてフェアトレードの商品である必要もないでしょう。無農薬の野菜ばかり扱うのでなく、低農薬の野菜も扱う自然食品店が普通であるように、NGOの商品に色々なレベルの物があっても良いのではないでしょうか。問題はそれがどのような商品かを明確にすることです。言い方を変えれば、商品がまったくフェアトレードの物でなくても、それがどのような目的で生産され、販売されているかを伝える事が大事なのです。これからフェアトレードの商品にしていこうとしているのであればその過程と意識が大事ですし、支援と運動が目的で、フェアトレードを目指している訳ではなくとも、自分たちの活動の目的が明確であればそれで良いのではないでしょうか。なぜならすべての販売事業がフェアトレードである必要は何処にも無いからです。

 フェアトレードとは、あくまでオルターナティブトレードの一形態にすぎません。その点は今後より一層明確にしていく必要があると思います。また、購入側もフェアトレード商品のみをブランド的イメージで見るのではなく、それぞれの商品をきちんと理解して購入する必要もあるのではないでしょうか。

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